乳白色のつややかな絵肌に、日本画で使われる極細の面相筆を使い、また時には針を仕込んで描く線。レオナール・フジタは、アーティストに備わっているヒラメキからこの技法を生み出したのではなく、ライバル画家の作品との差異化をはかって自分の作品を売るために、戦略的に技法を開発したと言っても良いのかもしれない。そこが面白い。確かに友人であったモディリアーニひとりとっても、ものすごい特異な作風だし。フジタ本人の随筆にもこんなことが書いてある。
私は彼地の作家の絵を一通り眺めてみた。で、その時分は絵の具をコテコテ盛り上げるセゴンザックという大家の流儀も流行っていた。それじゃ俺はつるつるの絵を描いてみよう。また外のものがバン・ドンゲンというような絵を大刷毛で描くならば、俺は小さな面相、真書のような筆で画いてみよう。また複雑な綺麗な色をマチスのように附けて画とするなら、自分だけは白黒だけで油画でも作り上げてみせようという風に、すべての画家のなす仕事の反対反対とねらって着手実行したのである。
女道楽をして酒場に入り浸り、奇抜な格好して夜な夜なバカをして。それでも家に帰ってから夜明けまで研鑽を積んで自分だけの技法を磨く。人真似をしていたら、その人以上にはなれない。そういうことだよね。


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