「第7回日本イノベーター大賞」の大賞にマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)の枋迫篤昌氏、優秀賞に 住友化学農業化学部門主幹の伊藤高明氏が選出。ちなみに枋迫篤昌氏は、昨年アショカのグローバルフェローにも選出されている。
枋迫氏はもともと東京銀行に勤めていた銀行員のひとりだったが、12年間のラテンアメリカ駐在を経て、2003年6月に米国ワシントンにてMFICを創業。米国内に5,000万人いると言われている中南米系移民を対象に、送金サービスやマイクロファイナンスなどの金融サービスを提供している。中南米への送金額は年間660億ドルに達するものの、金融機関の多くはこの分野には本格的に参入していない。その理由は、こうした出稼ぎ労働者の殆どが銀行口座を持っていないからである(こうした人々を"Unbanked"と呼ぶ)。その数、実に3,000万人。
結局、Unbankedな人々が母国に送金するには、送金専門業者に高い手数料(例えば10%を超えるケースもあるらしい)を支払う必要があり、送金先の家族もドルから現地通貨(例えばペソとか)に換金するときに為替手数料がかかるので、最終的に手元に残るお金が減ってしまうという現状があった。
こうした課題を解決する為に、MFICではインターネットを使って送金・決済するシステムを開発、手数料を約3.5%に抑えることに成功している。また送金業務の過程で生じる滞留資金を、マイクロファイナンスの為の資金として充当し、途上国における事業育成をバックアップしている。世界全体で見ると先進国にいる出稼ぎ移民は2億人、母国への送金総額は3,000億ドル(約35兆円)を超えるらしく、MFICのモデルは今後他の地域にも広がっていくことが期待されている。
そういえば、途上国開発と海外送金にまつわる課題解決の手法として、アフリカのサファリコムがやっているM-pesaというモバイル海外送金サービスというのがある。これも結局MFICが問題だと考えている法外な送金手数料を取る専門業者を飛び越えて、海外送金することが出来るサービスだった気がする。アフリカを旅して感じたのは、携帯電話がスゴイ普及していること。実数は分からないけれども、銀行口座は持ってないけど、携帯電話は持っているという人は沢山いるんだろうから、なるほどこういう事業モデルもあり得るわけだね。M-pesaの話はまた違うタイミングでまとめて書きたいと思う。
次にマラリア感染を予防する蚊帳「オリセットネット」の開発者である伊藤高明氏。マラリアは、世界で毎年3億〜5億人が罹患し、毎年100万人以上が亡くなっている感染症、その9割はアフリカで、大半が5歳以下の子供である。
そうした課題がある中、伊藤氏はマラリアを媒介するハマダラカを殺傷する薬剤を糸に練り込んでおき、その薬剤が徐々に拡散する技術を確立。また評価されるべきポイントが、マラリア予防の為の蚊帳を作って日本国政府がそれを買い取って配ると言うモデルではなく、現地メーカーと組んで蚊帳の製造工場を建設し、雇用の創出にもつなげているという点。
枋迫氏も伊藤氏も、実は昔から同じことに執着してやってきたことが、今になって評価されたという感じ。枋迫氏に至っては12年間のラテンアメリカでの駐在期間を含めて全部で27年間も銀行員をしていた後、MFICを創業しているわけで、やはりひとつのことを継続してやっていくってことって重要だし、そうした経験の中で得た「気づき」を大切にしていることってやっぱり大事だね。

