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    « April 2004 | Main | June 2004 »

    May 29, 2004

    演出としての字幕

     バラエティー番組に限らず、ニュース番組でさえ、意味なく字幕が出てきたりする。アサヤンや電波少年の影響が大きいのではないかと邪推しているが、これらは漫然と「ながら」視聴をする視聴者に対して無理矢理メリハリをつけさせる演出の方法であると考えられる。要するに多メディア化して、飽きっぽい視聴者をテレビに注目させる為の演出としての字幕である。

     こうした演出としての字幕ではなく、サービスとしての字幕というものがある。コマーシャリズムに浸かりきって、社会のニーズとは明らかに乖離している放送事業者も、国からの指導でユニバーサルなサービスを意識せざるを得ないのである。総務省の指針で、2007年に向けて字幕付与可能な番組に対しては100%の字幕をつけるということになっているのだ。そして国もこれを推進する為に(目的としては聴覚障害者向けを含めたサービス)、補助金を50%出す事になっているらしい。

     しかしながら字幕制作には莫大なコストがかかっているのが現状である。制作工程は極めて原始的で、番組のテープを聞き取りながら、パソコンで直接入力し、画像とセリフの同期をとり、誤字脱字やタイミングをチェック(必ず二人が見る)することで完成する。制作時間も1番組1週間もかかるらしい。ライブ番組の字幕制作は、音声認識とスピードワープロという速記用の特殊キーボードを使った方式を採用しているようだ。

     すべての番組に対して字幕をつけるという事業は、業界全体で100億円規模の事業となる。こうした状況をにらんで、住友商事が専用端末を使ってテレビ番組のせりふなどを文字で画面に映し出す「字幕放送」の制作事業に参入している(さすが商社って感じだなあ)。カンバスという字幕制作会社があり、住友商事はココと提携。全国にセンターを設けて、主婦や在宅勤労者らに入力作業を依頼して、字幕を制作する。そうすることで制作コストを従来の3割削減できるらしい。現状の字幕付加率はNHKが8割、民放は約3割程度となっている。高給取りの放送局の人員を字幕制作に費やすとなると、人件費が膨大にかかってしまうから、外注化の需要は高いだろう。こうした字幕のデータを、固定テレビ向けの聴覚障害者サービスとしてのみ提供するのではなく、番組に関連するメタデータとしてサーバー型放送向けサービスとして再利用することで、放送局も字幕制作のコストを相対的に下げる事ができるはずである。つまり演出としての字幕を、システマティックに考えてみるということ。

    bbc + creative commons

    logo_bbc


     BBC Creative Archivesがすごい。英国BBCが所蔵している番組を、今年の秋から受信料を払っている視聴者に対して無料でダウンロードできるようにするようだ。初期段階は権利処理が比較的容易なfactual programmes(例えばニュースやドキュメンタリーなど)から始めるようだが、それ以外にもカテゴリーを広げていくようだ。ここで最も注目に値するのは、ライセンスがCreative Commons型であるという点(some rights reserved)。Creative Archives InitiativeのパネルメンバーにStandford LawのLawrence Lessigが入っていることも影響しているのであろう。ダウンロードした番組は非商用目的(フェアユース)に限って、保存/複製/共有/再配布も自由である。このように番組を自由に流通できるようにすることで生活者が受ける恩恵は、はかりしれない。

     NHKも同じようにNHKアーカイブスに過去の番組を所蔵している。しかし現状では著作権上の問題からインターネットで配信することはせず、川口/渋谷(放送センター)/成城(技研/愛宕(文研)/水戸/札幌/仙台/仙台/名古屋/大阪/広島/松山/福岡/北九州に行かないと見る事ができるようになっている。アーカイブスには46万8000本の番組、268万4000本のニュースの番組資産が眠っているが、実際に見る事が出来るのは(権利処理が済んでいるもの)、テレビ番組2000本とラジオ番組200本程度にとどまっている。

     もっともNHK自体は元来、こうした放送した番組資産の効率的かつ有効に活用することをやっていきたいと考えている。先日のニュースでも明らかになった通り、BBケーブルTVと映像コンテンツをVOD方式で提供する事で合意している。「プロジェクトX」や「その時 歴史が動いた」「御宿かわせみ」「大地の子」など計200本を、トライアルという形で150円から290円で購入できるようになる。これが実現されることの意味は非常に大きい。あとは課金方法の問題を解消すれば、ビジネスとして成立するような気がする。

     ブロードバンドによるコンテンツ配信は、課金の煩わしさでことごとく失敗している。そもそもブロードバンドコンテンツ配信事業や有線役務利用放送事業は、世帯向けのビジネス(ファミリーペイド)になっている。だがそれではマーケットが小さくなってしまうのではないか。親の顔色を見ていたら、子供は好きな番組を買う事などできるはずがない。いちいち親に許可を得てから、ツタヤでビデオを借りる人などいるだろうか? あくまでもパーソナルペイド型のモデルにしていかないと成立しないだろう。やはり薄利多売でやっていくのであれば、ケータイの回収代行の仕組みを使う方が得策じゃないのか。クレジットカードを使えない学生を取り込んだり、効率的で容易な課金方法を考えれば、ケータイ程親和性が高い物はないのではないか。現にKDDIは光プラスTVという自社で行われている有線役務利用放送事業のPPVコンテンツを、ケータイでも課金できるようにしている。キャリアはトラフィックビジネスから脱却する為に、コンテンツとその伝送路をFREE(自由)に、回収代行ビジネスに注力するようになるのだろう。その為には、より多くのコンテンツが流通するように、何かしらの仕組みを作らなくてはならない(アフィリエイトプログラムみたいなもの)。


    BBC Creative Archive pioneers new approach to public access rights in digital age


    The BBC Creative Archive, first announced by former BBC Director General, Greg Dyke at the Edinburgh Television Festival in August 2003, launches in autumn 2004 and will allow people to download clips of BBC factual programmes from bbc.co.uk for non-commercial use, keep them on their PCs, manipulate and share them, so making the BBC's archives more accessible to licence fee payers.

    Access to the BBC Creative Archive will be based on the Creative Commons model already working in the United States which proposes a middle way to rights management, rather than the extremes of the pure public domain or the reservation of all rights.

    May 28, 2004

    PLASTICITY@ggg

    st

    May 26, 2004

    destruction is creation

    logo

    鳥越俊太郎の「僕らの音楽−OUR MUSIC (フジテレビ)」でスガシカオが言っていたことが少々気になった。曰く、「20曲目の以降の作曲は似てくるイメージをどう排除するかとの戦い」とのこと。作曲と言う作業は、ゼロから何かを生み出す事のみを言うのではなく、既にあるイメージをどう破壊するかという面もあるということである。つまり破壊と創造は、ある意味において同義に扱われるということである。

    画家のフランシスベーコンは、真新しい白い画布でも、画家がその前に筆をもって立てば、その画布は無数の先在するイメージによって占領されてしまっている。画家の作業はむしろそれらを取り除きながら、それらとの関係の中で全く新しいイメージを作り出すことなのだと語っている。

    May 25, 2004

    reactive soon

    ブログずいぶん書いてなかったけど、これからまたじゃんじゃん書いていきます。

    May 14, 2004

    cc wins the prix ars electronica goden nica

    banner2004_breit


    今年のars electronica2004は9月2日から7日までオーストリア・リンツで開催。夏休み旅行先リストに追加だね。今年のテーマは、"TIMESHIFT- The World In Twenty-Five Years"


    “TIMESHIFT―The World in Twenty-Five Years” is the title of the 2004 festival; transformation, upheaval and the future are its programmatic concepts. The point of departure is reflection upon the past 25 years; the aim is to identify the developments that promise to be the driving forces in art, technology and society over the next quarter century.

    creative commonsが2004年のprix ars electronica international competition for cyberarts 2004のnet vision部門でgolden nicaを受賞。今回から新設されたdigital communities部門では、the world starts with me(etherlands/uganda)が受賞。the world starts with meは、sex educationとaids preventionを目的とするのと同時に、ウガンダの若年層に対するメディアリテラシーの向上を実現させるプロジェクト。



    Net Vision
    Creative Commons (Venezuela / USA): "www.creativecommons.org"

    www.creativecommons.org
    Debates about copyright are usually played out between two extremes: there are those who envision a tough copyright that automatically protects all rights to a work; arrayed opposite them, advocates of a vision of freedom in which creatives should have the right to use available material. Reconciliation, compromise and moderate approaches have become rare in this discussion of ever-more-restrictive measures on one hand and the fears of draconian copyright laws on the other.
    The aim of Creative Commons is to show the way between these two extremes. Authors/creators can place their works at the disposal of the general public-to any extent they wish-in accordance with the guidelines of Creative Commons. Instead of "all rights reserved" as is automatically the case in classic copyright law, a Creative Commons license provides a "certain rights reserved" alternative. In this way, works can be released for limited use. The jury's decision to award a Golden Nica to Creative Commons is meant to signal its decisive approbation and encouragement of open source projects and the free software movement that are currently embroiled in this issue.

    revolutionize the jammed traffic environment

    nds02_04

    sk_psp02_05

    SONYとNINTENDOがELECTRONIC ENTERTAINMENT EXPO(E3)で発表したportable game device。SONY PSPは日本での発売が年末となる予定。300万台を出荷することになっているようだ。NINTENDO DSも二画面ということで、どういうモノかと色々と想像していたが、昔のゲームウォッチみたいな感じになった。原点回帰ということか... NOKIA N-Gageも色々と比較されていることもあるようだが、確かにN-Gageの方は結構苦戦をしている。しかしながら通信を活用することで実現できることは少なくないはずだ。今回WIFIに対応させたそれぞれのgame deviceだが、誰がどのような方法でWIFI利用料を徴収するか定かではない。この辺に煩わしさがあるとすれば誰も通信機能は使わないだろう。そうするとWIFI環境下で知らない人同士でネットワークゲームをやるということも夢物語に終わる。

    using wifi for personal video player

    mark_j


    東京メトロと共同で地下鉄駅で無線LANサービス

    NTTドコモは13日、東京地下鉄(旧営団地下鉄、東京メトロ)の駅に敷設している光ファイバーを使った無線LANサービスなどを共同で行うと発表した。このほか、第3世代携帯電話「FOMA」を使ったサービスも検討していくという。

    WIFIサービスはビジネスとしてほとんど成立していない。ISP事業者が、囲い込みの為に事業化しているのが正直なところだろう。ケータイとWIFIのDUAL端末が出るようになれば、状況はいっぺんするだろうと考える。大体ワザワザLAPTOPを持参して、駅のホットスポットでウェブにつなげるという利用シーン自体、自然な行為だとは思えない。中年サラリーマンが、帰宅途中のキオスクで夕刊フジを買って、電車の中で読む。そんな日常の行為としての流れ以上の行為を、例えばこうしたビジネスコンシューマー層に強要したところで、利用されることなどあり得るわけもないだろう。今後WIFIとの組み合わせで期待したいのは、SONY PSPやNINTENDO DSとの組み合わせだ。E3で発表されたこの全く新しいゲーム機の動向はとても興味がある。駅だけでなく、電車の中もWIFI対応になればかなり面白い事ができるはずだ。キャリアも携帯電話の通信網に固執しすぎると、足下をすくわれる事になるだろう。FOMAとWIFIを組み合わせる事で、コンテンツの伝送方法はより効率的で安価な方法を個人が選択できるようにし、キャリアはコンテンツの周りにあるコンテクスト(時間情報/属性情報/権利情報など)の流通方法について具体的に検討をする必要があるのではないだろうか。コンテンツの伝送方法が多様化すると、コンテンツ自体の価格はゼロ(無価値)に近づくことになる。それはコンテンツビジネスとしてのiTunes Music Storeを見てみれば一目瞭然である。APPLE COMPUTER自体も、今後1曲99セントの価格設定を、値下げしていく事を考えている。実際WALMARTは1曲88セントという価格設定をしていることを考えると、価格競争は激しくなるかもしれない。音楽配信ビジネスを行う事業者は、価格競争をするのを本意とは思っていないはずだ。APPLEがiTunesで提供しているように、楽コンテンツの周りにあるコンテクストをどのように流通させるかということに重きを置き、優位性を確保したいと考えている。それは先にエントリーしたiMixで自分のPlaylistをpublishするということや、今自分が聞いている曲を共有するということなどを考えれば明らかであり、コンテンツをどう流通させるかということではなく、コンテンツをどのようにして消費していくかというその方法にフォーカスしている。無論SONYが始めるCONNECTがUnited Airlinesのマイレージプログラムと提携し、マイレージで楽曲を購入できるというような、決済手段を多様化させる事で優位性を確保するという戦略も間違いではない。SONY CONNECTも、APPLE iTunesに対抗する為には、何故いちいち楽曲をCONNECTで購入しなくてはならないのかと言う意味付けを明確にしなくてはならない。それは対応するハードウェアで縛ると言うことも安易ではあるが、考えられることだろう。しかしながら、それではどうやって楽曲を買ってもらうかっと言うところまで踏み込めないだろう。米国のONLINE MUSIC DISTRIBUTION BUSINESSは、まだ想定市場の1%くらいの規模にしかなっていないとAPPLEは考えているらしい。残りの99%の市場を巡り、激しい競争が始まる。もちろんこの事で音楽市場が盛り上がれば、言い訳がましく音楽市場縮小の原因をP2Pアプリケーションに押し付けてきた権利団体の目をさまさせ、かつアーティストもその恩恵を受けることが出来るはずだろう。日本の市場は、著作権の考え方も未成熟で矛盾が多い。セキュリティが確保された携帯電話で視聴する為の鍵を購入し、コンテンツ自体の流通は別物として考えら得るようになると、まったく新しい発想のコンテンツビジネス(あるいはコンテクストビジネス)が成立する可能性が高い。

    May 06, 2004

    distance

    dvd_jacket

    カルト教団による殺人事件の加害者遺族たちの話。mr.childrenの"タガタメ"じゃないけど、加害者・被害者の境界線の曖昧さみたいなものを非常にうまく表現している。何かスポンジの上に置いた石が、その重みでゆっくりと沈み込むように、無自覚な自分の中へゆっくりと染み込んでくる。そんな奥ゆかしい方法で、僕を引き込んだ。撮影方法もドキュメンタリーの手法を使っているからか、演技というものがないように思えてくる。是枝裕和がテレビマンユニオンでドキュメンタリーを撮っていた時の技法を、劇映画用に再構築した演出なのだろう。僕が初めて是枝監督の作品を見たのは、監督自身が撮影した映像で構成される「もう一つの教育(91年/フジテレビ)」というドキュメンタリー。これは長野県の伊那小学校で、教科書を使わないで牛を飼育することで学ぼうとする総合学習の話なのだが、とてもよく出来ている。こういうのって、もう見る事できないのかな。NHKアーカイブスみたいに、どこかで見る事が出来ると良いのにね。あと夏に公開される是枝裕和監督の"誰も知らない"も期待したい。夏を待たずカンヌに出品されるので反応が気になる。

    May 05, 2004

    La Biennale di Venezia

    La Biennale di Venezia
    9. Mostra Internazionale di Architettura

    ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展のテーマはMetamorphoses(変容)。そして日本館のテーマは、 "OTAKU: characterology = space = cities"(「おたく:人格=空間=都市」)。日本館コミッショナーは、「趣都の誕生-萌える都市アキハバラ」の森川嘉一郎(桑沢デザイン研究所特任教授)。アキハバラがやはりナショナルスタンダードという事を示していることの証かもしれないな。今回のテーマがオタクだから、丹下健三に並んで、海洋堂や斉藤環などの名前もある。会期は2004年9月5日〜11月7日。9月に計画する旅行先の一つの候補にしよう。

    本展示では、おたくの個室、数十万人が集うコミックマーケット、秋葉原の都市空間、さらにはネット空間などが、連続した箱庭として再現される。そこは情報化時代の建築空間としてしばしば思い描かれてきたような、無色透明な浮遊空間などではない。各々が物語のオーラをまとったアニメ絵の無数の聖像(イコン)が、内外の壁、床、そして画面を、汎神的に構成している。近代様式の移植にともなって「いかもの」として抑圧され続けてきた偶像や聖像が、八百万の神々のように立ち現れ、流通し、コミックマーケットや秋葉原が“聖地”として巡礼される。喪われて久しいとされる都市的な祝祭空間と壮大なポトラッチが、そこには脈々と生きている。 おたく趣味は漫画、アニメ、ゲームなど、メディア横断的な特徴を持っており、また日本の現代文化としては例外的に海外に越境し得ている。これはおたく趣味が、特有の自意識とセクシュアリティをベースにしていることと関係している。これまで、国家や民族、宗教やイデオロギーなどをベースにした文化圏は多々あったが、人格をベースにしたものはなかった。この、都市をも変える新たなる構造としての「人格(キャラクター)」の浮上は、環境の情報化と密接に絡んでおり、資本とはまた違ったパターンで、容易に旧来の境界を越境し、場を形成する。 〈おたく〉を、商品や作品としてではなく、その人格を起点とした横断的概念として、展示を通して提示するものである。